ネットには相も変わらず老後破綻だ、老後貧困だとか、そんな記事が多い。同じ内容を繰り返しているものもある。
何日か前にこのブログに書いたことだが、65歳以上の3分の1の人が3,000万円以上の貯えを持っているという。これだけの貯えがあれば年金と併せて老後は安泰とされている。
3分の1が安泰である社会は「豊かな社会」と言っていいのだろうか。安泰でないほうが多いのだから豊かな社会と言ってはおかしいことになる。
日本の高齢者社会は総じて安泰とも豊かとも言えないが、なんとか切り詰めていけば生きていける社会ということになっている。
しかし切り詰めれば何とかなるというのはまだいいのかもしれない。きり詰められなくなったらどうするのか。これからの社会はそういう社会のようである。
日本の高齢者社会が豊かなものなのか悲惨なものなのか、その時の記事によって全く内容が違う。
日本の富裕層は年々増えているという記事があれば、老後貧困が深刻である、という記事も多数ある。
2021年のデータによる全世帯5413万世帯の金融資産保有額は、
3,000万円未満 77.8%
3,000万円以上5,000万円未満 13.4%
5,000万円以上1億円未満 6.0%
1億円以上5億円未満 2.5%
5億円以上 0.17%
となっている。
5億円以上の金持ちというのは何百億、何千億という人も含むことになるからあまり現実的ではない。ちょっと金持ちというのは3億から10億くらいの人を言うのではないか。5億円くらいの金持ちは140万世帯近くいるのである。
不安のない老後を過ごすには3億くらいの金融資産が欲しい。そんなにあったって使いきれない、ということではない。「不安のない老後を過ごすためには」ということである。
一流大学を出た人でも、勤め人であれば3億の貯えは無理である。こういう金額はひと山当てなければ貯まるものではない。
私の周りには3億どころか10億以上の資産家が何十人もいる。みんな不動産屋でひと山当てた人たちである。
東京近郊のなんの産業もなく、人口30万人くらいの町で金持ちになれるのである。
不動産屋のほとんどの経営者が大学を出ていない。中にはまともに漢字を書けない人もいる。
そんな人たちが時流に乗ってぼろ儲けをした、とは言わないが、努力以上に時流に助けられたということは言える。
30年前に会社を倒産させた人が同じ不動産業で大きな利益を得ている。金融緩和政策がなければ復活はできなかったはずである。
大学で非常勤講師として働く人の収入内容が新聞に載っていたが、研究者としての努力が全く考慮されていない。非常勤講師とは非正規社員と同じ意味なのであろう。
正直言ってあんな不動産屋連中が金持ちになったかと思うとやりきれない。やはり世の中は間違っている。(了)
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