昔〝ダバダ―……〟というスキャットで歌うCMソングをバックに、「違いがわかる男のゴールドブレンド」、というインスタントコーヒーのコマーシャルがあった。
出演者には、違いがわかる人達ということなのか、当時の著名な芸術家や俳優さんなどが起用されていた。しかし中には、違いがわかるはずはない、という人もいた。
「違いがわかる」というのは、他社のインスタントコーヒーとの味の違いがわかるということではなく、広く教養というか感性というか、そういうことにおいて物事の違いがわかる、ということのようであった。
コーヒーはこだわりの嗜好品。皆さんこだわりを売り物にしているような人達である。それなのにどうしてこのコマーシャルに出演したのだろうか。
江藤俊哉さんや黛敏郎さんまで出演している。これほどの人達でも出演することに躊躇しなかったのであろうか。高倉健さんは「自分は不器用ですから」と言っていたが、ちっとも不器用ではなかった。
コマーシャルは商品を宣伝して、販売を促進することが目的であるが、中にはよからぬ物をコマーシャルによっていい物と誤解させることを目的とするものもあるようだ。
このようなコマーシャルに出演する芸能人は責任を問われるべきだと思う。
コマーシャルは物を売るためのはずだか、とにかく何でもいいから電話をくれ、というコマーシャルが続いている。司法書士事務所の過払い金のコマーシャルや法律事務所の肝炎訴訟などである。
過払い金が戻ってくる可能性があります。。最大3,600万円の和解金が支給される可能性があります。
まさかフィッシュングではないだろう。「可能性」だから どこにも嘘はない。しかし和解金のことである。誰でも3,600万円のはずはなく、支給されるとは限らない。
「5万円ほど繰り返しただけなんだけどねえ」というあのおじさんは本者なのだろうか。チョイ役専門のタレントさんという話もネットにある。
日本広告審査機構(JARO)という公益財団法人がある。
不当な広告を監視し是正する組織だという。しかし構成員は広告主、放送局や新聞社、それに広告会社だという。何のことはない身内だけではないか。クレームの緩衝材のようなものでしかない。
さすが名称は立派であるが、みんな正義の味方と誤解してしまう名称である。(了)
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