ユニクロの柳井さんという社長さんが何年か前の入社式で、「知ってるのと出来るのとは全く違う」と言ったことがあった。もちろん柳井さんのオリジナルではない。誰でもが分かっていることである。
柳井さんには名言集と呼ばれるものがあるが、読んでみるとなるほどと思うこともあるが、煎じ詰めれば如何に儲けるかということ以外に何もない。
柳井さんの言葉は、言い方は異なっているが社員に経営者としての発想を持つことを要求し、社員が単なる給料取りの勤め人であることを許さない、ということに尽きる。入社式での言葉もその意味での言葉である。
柳井さんは長者番付で1位になったこともあるし、昨年はソフトバングの孫氏に次いで2位だったそうだが、大変な額の資産家である。
1台何百万の自動車を売るのとは違い、一枚何千円のシャツを売って兆単位の資産を持つということは、まともな商売ではありえない。
柳井さんの言葉に関連してのことではないが、人には「できる人」と「できない人」というのがある。
「できない人」というのは、仕事もできないダメな愚かな人、ということではなく、勤め人として生きていくことに自身納得している人のことである。
自分で事業なり商売を始めればもっと収入は多くなるかもしれないが、自分にはできないし、やりたくもない。平凡な人生を送りたい、と考えている人のことである。
社会は「できる人」より「できない人」の方が多い。会社はできる人がトップに立ち、できない人は勤め人として命じられたことを黙々とやることになる。報酬も「できる人」と「できない人」で違うことになるが、それは仕方のないことである。
社会の衰退ということは「できない人」が生きずらい社会になるということかもしれない。
日本の経済復興を叫ぶ経営者には、「できない人」に「できる人」になれと言っている人たちが多い。
経営者になったつもりで考え行動しろと言うが、経営者にならなければ無理というものである。
年収何億円という経営者が、300万か400万くらいの社員に経営者になったつもりで働けというのは虫が良すぎる。
「できない人」に、平凡で穏やかな人生を全うさせることが経営者の責任というものである。
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