他人の老後の生活を気にしてもしょうがないことだが、団塊の世代の実情というものは本当のところ、どのようなものなのだろうか。
年金の受給額は夫婦合わせて(夫の厚生年金と専業主婦)25万前後ということでいいのだろうか。国民年金だけということであれば11万くらい。
住宅ローンがないとして、月々の生活費は30万くらいで足りるのであろうか。
そうであれば厚生年金の受給者は毎月5万円足りないことになる。
国民年金の人は20万くらい足りないが、自営者であるから収入は別にあるということでいいのだろうか。
サラリーマンの貯蓄高はいくらと見ればいいのか。子供が2人いて私立の大学にでも入れればその間貯蓄はできないという話を聞く。そうだとすれば貯蓄ができるのは子供たちが独立して後のことになる。早くて50歳。60歳近くならないと貯蓄はできないということになる。
退職金はいくらなのだろうか。2000万円から3000万円くらいか。
結局普通のサラリーマンはいくらの貯えをもって老後の生活(働かないということ)に入るのだろうか。
貯蓄2000万、退職金2000万として合計4000万。
仮に毎月5万円の持ち出しになったとして、65歳から90歳の25年間で1500万円である。なんら問題はないということになる。
団塊の世代は590万人だそうだが、大学進学率は10%と言われている。
そんなものかと思う数字であるが、まだ金の卵と呼ばれた中卒の就業者が多かった時代でもある。金の卵の人たちは自営業者として成功した人も多いのであろう。
勿論食べていけない人もいるだろうが、団塊の世代は恵まれた世代と言われている。
これからいい世の中になることは期待できないから、今が一番いい時だということになる。
総じて、団塊の世代は食べていける人たちであると言っていいのだろうか。
世の中にはできる人とできない人がいる。
仕事ができる、できないということもあるがそうではなく、例えば人に雇われて働くことしかできない人ということである。そのことを自分で自覚している人のことである。
「あなたは自分で何でもできるが、できない人もいるんですよ」というセリフをテレビなどでもよく耳にする。この意味である。
有難いことに、できない人でも生きていけるのがこの社会である。
どこかに雇われて真面目に文句も言わず働けば、倒産でもしない限り給料をもらい、定年までいれば年金も受けられるし、わずかでも退職金ももらえる。できない人でも人並な生活ができる。
「できない人」は結婚もできない人が多いが、団塊の世代の結婚を支えたのは見合い結婚ではないだろうか。もちろんできる人は恋愛結婚だが、見合い結婚がなければどれだけの未婚者がいたことだろうか。
いい刀は鞘に納まっているものである、という話があるが、いい刀でなければなおさら鞘に納まっていた方がいいことになる。自分が「できない人」であることを自覚することが身を助けることになる。
私はどうなのか。「できる」と思い違いをした人生であった。思い違いの人生でも生きてこられた。日本はいい社会である。(了)
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