かにかまを漢字で書けば蟹蒲ということになる。平仮名表記なのか片仮名表記なのかということがあるが、カニカマとするのが一般的であるという。しかしいろいろ商品を見てみると「カニかま」というのもある。
商品名もカニスティック、マリーン、海からサラダとメーカーによって様々で、カニカマをそのまま商品名にしなければならないということはないらしい。中には「カニちゃいまっせ」とか「ほぼタラバカニ」というのもあった。
発明者は誰かとなるとはっきりしない。メーカーはそれぞれ元祖を名乗っている。能登半島地震で大きな被害を受けた七尾市に本社がある水産加工会社が本元ではないかという説があるが、説があるというくらいであるから本当のところははっきりしないということになっている。
しかし現在のカニカマとは違うとしても、最初に何かそれらしきものを発明した会社なり人はいるはずである。それらしき発明をきっかけにして、いろいろな会社などが真似をして発展させた、ということではないだろうか。
カニカマに特別興味があるわけではないが、どうしてこんなにメジャーな食べ物になったのだろうかと思う。メーカーがカニとして売り出したわけではないから、まがい物とかインチキとかいうことはないが、それでも食べ始めたころは何か違和感があったものである。
カニ風味のかまぼことして、普通のかまぼこの形状で販売したら売れたのだろうか。カニ足に似せて作ったから売れたのだろうか。
カニカマはもはや日本人だけの食べ物ではなく、世界中の人の食べ物になっているらしい。消費量はフランスが1番だそうである。
カニカマは人工食品ではないが、だいぶ前から気になっている人工食品がある。いくらである。
何十年前というくらいになると思うが、テレビで人工いくらが放送された。
どこかの、食品とは全く関係のない化学会社が開発したものである。見た目にも食べても本物そっくりであったらしい。漁師さんでさえ、それを食べても見分けがつかなかった。
大量生産が可能となり、人工いくらは回転寿司や業務用に使われたらしい。
化学薬品を使って作ったものではないから危険な食品ということではないが、やはり人工食品となると気になるものである。回転寿司に行ってもいくらは食べないことにしていた。
最近ではいくらの漁獲量が増え人工いくらは減ったというが、一部の回転寿司屋ではまだ使っているらしい。
カニカマは主にスケトウダラのすり身を原料とするかまぼこである。形はカニ足に似ていて、カニの香りがするがカニが入っているのではなく煮汁を入れるそうである。
そういうものを作ることに生産者として後ろめたさはなかったのだろうか。
消費者はカニカマを受け入れた。インチキな食べ物という評価はしなかった。
日本人はコピー食品に慣れているのかもしれない。昔からがんもどきがあった。マーガリンはもともとバターのコピーである。肉の代わりに油揚げですき焼きを食べたことにする丁稚さんたちが大阪にいたという。
カニより安くて、カニの食感が味わえて、それでおいしければ何も言うことはない。日本人は懐が深いのか、フトコロが寒いのか。(了)
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