昭和44年の流行歌

つぶやき

 夜中3時頃に目が覚めると、やれやれなんとか朝を迎えられるな、という気になるが、少し早めに寝て1時頃に目が覚めてしまうと恐ろしく長い夜となる。

 先日ラジオの深夜放送で、「昭和44年の流行歌」を聴くことになった。
 昭和44年は私が大学4年の時。何か特に思い出があるということはなく、どんな年であったかも全く覚えていない。

 時の総理大臣は誰だったのだろうかと考えたが全く思い出せない。大学4年の時アパートを変え、そのアパートでアポロの月面着陸を見たから、あれは昭和44年のことだなということになる。

 「フランシーヌの場合」。確かにそんな歌があった。場合をばあいと読むかばやいと読むか。40歳の頃、高田馬場の居酒屋で知人と話をした覚えがある。
 学生運動、カルチェラタン、さりげない歌唱。なにかよく分からないが白けていたのか一生懸命だったのか。

 はしだのりひことシューベルツの「風」は懐かしい。
 シューベルツとはシューベルトの複数形かと思っていたら、“Shoe Belts”(靴のひも)ということらしい。人名に複数形はありえない。

 はしだのりひこの素人ぽい歌い方が新鮮であったが、
  「人は誰もただ一人旅に出て
  人は誰もふるさとを振り返る」
 という歌詞には共感するものがなかった。私には故郷がない。
 
 曲の終わり頃、タンゴのリズムのような刻みが入る。こんなことはやらないほうがいいな、と昔聴いていたものである。

 働きながら学校に通うという生活が7年続き、翌年に終わる年である。
 普通の学生は就職活動に懸命のはずだが、夜間大学生には求人は全くない。
 このまま印刷職人を続けるか、新たな職を探すか。

 休みの日、鶴巻町の映画館で成人映画を観た時、館内に「風」が流れていた。
 映画を観終わって外に出たら、「この映画館と成人映画を観たということと風の歌は、多分一生忘れないだろうな」と、という思いがどういうわけ浮かんだ。

 あれから55年。「そこにはただ風が吹いているだけ」
 「風」という曲名はそういうことだったのだなと思う。いい歌であったのだ。

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