適正な職務行為と事故死

つぶやき

 こういう死亡事故が起きて、どこの警察も同じコメントを発表する。
 きのう深夜、埼玉県川越市でパトカーに追跡されていた軽自動車が中央分離帯に衝突し、運転していた10代から20代くらいの男性が死亡し、後部座席に乗っていた16歳の高校生ら女性人が頭などを強く打ち、意識不明の重体だという。 
 
 危険な進路変更をしたので停止を求めたところ車は停まることもなく時速80キロ程度のスピードで逃走したことが追跡の理由である。

 警察は、パトカーが追跡中に起きた事故だったことについて「現時点で適正な職務執行であったと考えています」としている。

 誰もが思う。人が死んで「適正な職務執行であった言えるだろうか。
 人が死んで「適正な職務執行であったと言えるのは死刑執行人だけある。
 「俺のせいじゃないよ。自業自得だ」、と警察は言っているのである。

 車線変更という軽微な違反である。覆面パトカーということであれば車内の様子も判ったであろう。若い男女が4人も乗っていて車は軽である。

時間は深夜。追跡すればどんな事態が
起きるか、警察官ならば簡単に予想がつくことではないか。車体ナンバーを記録するとか写真を撮るとかすればいつでも検挙することができる。現行犯逮捕にこだわるということなのだろうか。
  
 追跡は危険という判断をなぜしないのか。逃げるから悪いんだ、というのが警察の言い分であろう。
 しかし誰でもよくないことをしていれば逃げる。車で逃げる者を車で追いかける。それも障害物が無数にある市中でのことである。追跡が死亡事故につながることは明白ではないか。
 死亡事故が起きることを予想しないで追跡することは考えられない。
 
 もし歩行者を巻き込んでいたらどういうことになるのか。追跡されている車が歩行者をはねることは過去に何度もある。死亡につながる可能性は非常に高い。それを認識して行う追跡は、故意による殺人の間接正犯ではないか。

今回の事件で
搭乗者が死んだのは追跡したからである。明白な因果関係がある。責任がないとは言えない。警察は市民守るためにある。どんな状況においても、市民を死なせるような行為が警察活動であるはずがない。

 今回のような死亡事故がなんども起きている。いつも警察は人が死んでも「現時点で適正な職務執行であった」と繰り返す。後の時点でのコメントはされたことがない。
適正な職務執行」が人を死なせることになることの重大性を理解しようとしない。

 こんな悲惨な事故があっても警察署には「今月の管内の死亡事故 ゼロ」という看板が掲げられるのであろう。警察が防ぐべき事故ではないからである。(了)

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